[ 会計よもやま話 ]

2005年10月15日

ストックオプションの費用計上について

ストックオプションの費用計上が義務化されそうです。

http://bizplus.nikkei.co.jp/news/index.cfm

時期は、2007年3月期から、新会社法施行後に付与するストックオプションから対象となるようです。

結構、これはベンチャー企業には、大きなダメージとなると予想されます。

ベンチャー企業の場合、立上げ時期、株式公開までの期間、かなり作業的に無理をすることもあります。

また、資金的にも余裕がない会社にとっては、いわゆる『出世払い』のストックオプション制度は、伝家の宝刀みたいなものでした。

今回の会計基準の変更は、直接的なキャッシュアウトへとつながるわけではないですが、「会計上の利益」を圧迫します。

すると、株式公開の1つの条件である利益基準の形式基準がクリアーできない状況が発生し、その『出世払い』が、いつまで経っても、払われない状況に陥る可能性があります。

と、ココまでは、ベンチャー企業側の見方ですね。

ココから、会計的な見方をしていきます。

『出世払い』というところがポイントですね。
『出世払い』というのは、結局『未払』ということになってしまいます。

そもそも、得ている収益に対して、本来は発生すべき費用が計上されていないのでは?ということになります。

確かに、費用の過少計上で、それをその会社の正常収益力としてみて、公開させてしまうのは、どうなのでしょうか?ということです。

これも、会計的には、納得できるところです。


更にもう一段。

ただ、ストックオプションは単なる給与ではなく、『モチベーションを高める』という、非常に重要な目的があります。
この効果が、収益にどれだけ貢献しているか、単なる労務による収益と区分することは困難です。

となると、『出世払い』ではなく、もう1つの見方、『労務の出資』という見方をすることも可能では?ということが考えられます。

これは、合名会社等は、そもそも、労務自身を『出資』と受け入れることが可能なので、そういう考え方もありかな?とおもったりします。

いずれにしても、2007年3月期は、人件費分は費用計上のようなので、利益計画等に注意が必要ですね。

投稿者 kuni01 : 12:49 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月24日

ジコカブシキ

会計処理にも法律の世界と同様『論点』と呼ばれるものがあります。それは、一つの経済事象を取り上げて、『こう会計処理した方がいいのではないか』『いやいやこう処理したほうがより実態に近い』とか複数の学者さんが意見対立するようなものです。

 

例えば『自己株式』。これにも次のような意見対立があります。

 

     資産説

資産説によれば、一般に自己株式であっても有価証券として譲渡価値を有し、流通性が高く、他社の株式の保有と異なることはないということを論拠とします。

 

     資本控除説

資本控除説は、自己株式の取得を株式の発行と表裏の関係で捉え、株式の発行は資本の増加なのだから、その再取得は資本の減少にほかならないとみるわけです。

 

そして、自己株式の会計処理は面白いことに以前資産説による処理だったものが資本控除説へ変化しました。

 

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(具体的には)

自己株式の会計的性格について、従前から会計理論上、資本控除説が支配的でしたが、商法では、自己株式の取得は原則として禁止され、取得した場合も短期的な処分が予定されていたので資産説が採られていました。

 

しかしながら、商法が改正され自己株式の取得が容易になり、また保有し続けることも可能になったこと、その一方で自己株式の処分には新株発行と同様の規制があることなどから、資本控除説へと変わっていったのです。

 

ちなみに来年から施行される新商法では自己株式の取得がさらにカンタンになったようですね。

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経済実態に合わせて会計処理もどんどん変化する。あるべき姿だとは思いますが、実務の現場では結構大変なのです。

 

(今日は妹の結婚式。笑いの絶えない楽しい式になりました。来てくださった皆様に感謝

投稿者 a005547 : 00:46 | コメント (0) | トラックバック

2005年08月08日

『純利益』が消える

土曜日の日経新聞の朝刊に、次のような記事が載っていました。

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3K0500M%2005082005&g=E3&d=20050806

なんと、企業の決算書から、『純利益』が消えるというでは、ありませんか?

それに、ちょっと待ったと、経済産業省。

http://www.meti.go.jp/press/20050805004/20050805004.html

さすがに『純利益』が消えてしまっては、企業の業績をどう考えたらいいか分からない。というのが主張。

ただ、本音は、日本企業の事業用資産ではない資産を保有しすぎていることへの配慮ではないでしょうか?

例えば、有価証券。

有価証券は、持ち合いは大分解消されたとはいえ、依然、企業は大量の有価証券を保有しています。

それを、包括利益で測定されてしまうようになるなら、企業は、また、たまったものではないといったことで、有価証券を売却するでしょう。

日本企業のROAは、向上はしてきていますが、まだまだ、事業用資産と非事業用資産という観点からみると、非事業用資産の保有が、多い企業があるように思えます。

結局、企業の強さ、企業価値の向上は、純利益という、ある意味裁量的な指標ではなく、営業損益・経常損益(海外では、一緒)で判断されるべきなんでしょうけね。(*^_^*)

投稿者 kuni01 : 00:06 | コメント (0) | トラックバック

2005年08月02日

Solution Business

ユナイテッドアローズの業績が好調なようですね。今週の日経ビジネスによると、今や4期連続で増収増益、創業17年の今期は売上高500億円が確実とのことです。

 

アローズはいわゆるセレクトショップという複数のブランドから買い付けた商品を販売する衣料品専門店のジャンルに属します。このジャンルには、この他、BEAMSSHIPSE dificeなどがあります。

 

私も、セレクトショップには立ち寄る機会があるのですが、何が良いのかというと、やはりお店がスタイルを提案してくれるということではないでしょうか?

 

普段なかなか洋服のことを考える時間がなく、でも洋服には興味あるという方は結構多いと思います。

 

お店にいったときに『これはどうだ?だめならこれはどうだ?』という感じで次々とアプローチを受けます。私なんかは、お洒落な店員さんにうんちくを交えて商品の良さを語られると『うーんたしかにそうかな?』と思って買ってしまいます(↑o↑)

 

アローズでは通常の衣料品専門店の約5倍、2000品番を扱っているにもかかわらず、返品等は少ないようですね。それはこうした提案型の販売方針が効を奏しているといえるのではないでしょうか?

 

ただ、好調の理由はそれだけではありません。

 

2004年有価証券報告書によるとアローズの従業員の平均勤続年数が39ヶ月と、業界大手と比較しても2年〜4年程度短いのです。これは、アローズの人件費が低く保たれていることを意味します。

 

これから、優良企業として従業員のロイヤリティーが増し、平均勤続年数が増していったときに、なお、現在の高い利益水準をどのようにして維持していくのか?そこに注目ですね。

投稿者 a005547 : 23:52 | コメント (0) | トラックバック

2005年07月30日

『経理』と『財務』

どうも。お久しぶりです。

ちょっと、出張&風邪をひいてしまって、Blog更新滞ってしまいました。

事務所の開設準備もバタバタと進んでいます。

私自身は、監査法人を辞めるのが、9月となっていますので、まだ期間がありますが、一緒に事務所を借りる人が7月末に辞めることとなっているので、急ピッチで整備中です。

今日は、『経理』と『財務』の話について。

意外とこの2つの言葉、混同されている方が多いのではと思いますが、それを混同してしまいますと、社内的な混乱を招き兼ねないことになります。

まず、『経理』とは何をするところか?

それは、会社の実態を鏡のごとく映し出すことです。

ここには、何の主観的判断も含めるべきではありません。

一定のルールに従った会計基準を適用して、実態をひたすら表すのです。

この経理の能力として求められるのは、「客観性」「正確性」と「スピード」でしょう。

例えば、『月次決算』。

これを客観的に、正確にスピーディーに行い、経営陣が判断できる環境を作ること。

これが経理の評価であり、会社経営の基盤となるものであると考えられます。

次に『財務』とは?

こちらは、まずに2つに分けましょう。

『守りの財務』と『攻めの財務』です。

『守りの財務』とは、いわゆる資金管理(資金繰り)です。

これをミスると会社は潰れます。

次は、『攻めの財務』

これは、戦略的財務とも呼べるでしょうが、例えばM&Aを行う場合、それが投資資本効果としてどれだけ意義があるのか算定する、といった、CEOの戦略を、計数的に構築するといったことが重要な役割になります。

例えば、ROEという指標。

これは、『攻めの財務』の言葉です。

 

このように『経理』『財務』、財務の中でも『守りの財務』と『攻めの財務』で役割が違います。

時々、経理の方が、攻めの財務までやっている会社を見ますが、これをやると、私の最大の懸念は、経理の本来の仕事、会社の実態を客観的に正確にスピーディーにあらわすといったことが、戦略財務の目標値と重なり、それが出来なくなくなってしまう。主観的な数値を作ってしまう可能性があります。

『経理が揺れては、会社は駄目になる』

そう言われる経営者がいますが、まさにその通りで、ゆがんだ鏡で自分を写していては、経営者が経営できません。

経理の方は、コストセンターといった意識をもち、戦略的財務が価値を高めるような認識を持たれる方がいますが、経理は、会社経営の基盤となるものであり、その価値は非常に重要なものです。

投稿者 kuni01 : 09:37 | コメント (0) | トラックバック

2005年07月17日

のれん一括償却

今日の福岡は、昨日と打って変わっていい天気でしたね。

 

私はちょっと、家でレポートがたまっていたので、家族を追い出してやっつけていましたが。うーん、独立するとレポートを書くのも、人に頼れなくなくなるのは、キツイですね。

 

というか、何から何まで全て自分でやらなければならない、・・・(-_-;)
気が重いです。

 

まあ、それはそれでということで、


暖簾の一括償却の話。

 

今日(7/16)の日経新聞に、暖簾の一括償却を原則禁止するルールを2006年4月から導入という記事が出ていました。

 

楽天の三木谷さんたちが中心になって、一括償却を認めるようにという働きかけを企業会計基準委員会に行っていましたが、結果は、正反対で決まったようです。


ここで、企業会計委員会の一括償却否定意見としては、暖簾が買収時、一時の影響とは考えにくいというのがありました。

確かに、そのとおりですね。

M&Aの影響が一時で終わるようであれば、成長も何もあったもんではないため、これは納得いきます。

 

では、償却しないというのはどうか?

 

これについての、企業会計委員会の意見は、日本は暖簾の算定が曖昧というのがありました。

?(-_-;)

 

曖昧だったら、明確にすればいいじゃないか?

素直にこう思ってしまいました。

 

確かに、米国では、日本のように、残ったもの全て暖簾として処理するようなことは行いません。

 

経営者が、戦略投資家の視点から見て、シナジー効果等をある仮定のもとではじきだして、本来の意味での超過収益力を算定するようです。

 

どうも、日本は、こういった金融工学的な数字の話が苦手なようで、大雑把にいくらで決めてしまう系があるようで、そういった時の調整弁が”暖簾”なんでしょう。

 

一括償却すれば、新興企業の事業戦略に影響があると、記事では書いていますが、それは本当でしょうか?

 

そもそも、M&Aはその暖簾の償却代以上の収益力は考慮されて行われるべきものであり、それを一時償却して、時期移行の影響がないようにするのは、言ってしまえば、あたかも、M&Aをする前から、M&A後の企業であったかのような錯覚を起こさせてしまううようなものです。

 

では、何故、償却不要ではなく、一括償却にこだわるのか?

 

それは、きっと税務処理の話だと思います。

 

税務では、営業権の償却は5年です。

 

一括償却した場合には、毎期、5分の1ずつ税務上の損金として認められます。

 

要は、5年償却だと、償却の重みがきついが、一時償却であれば、痛みは一瞬、後は、税務の恩恵にも預かれる。って形ですね。

 

これが、償却不要説になってしまったら、せっかく、税務上損金として認めてもらえる損失を、いつになるか分からない、減損を待たなければならない。

 

それはなんだか、目の前にニンジンをぶら下げられたけど、いつになったら食べれるか分からないといった状況に似ていますね。(^_^;)

 

この辺、日本は、既に、税務と会計はある程度切り離すか、会計に税務をあわせる時期に到達してきているような気がしますね。


あと、もう一つ考える理由は、面倒くさい。

 

これはあると思います。

 

考えてください。

 

30歳のときにM&Aした暖簾が、20年かかって償却される

と、償却終わったときは、50歳ですよ。

 

経理の人も、会計士も総代わりで、ドキュメントを精緻に残さない日本の会社で聞く会話は、

 

会計士:「この暖簾、どこの会社ですかね?」
経理 :「さー、私が幼稚園のころの話ですからね、・・・。」

 

といったようなものが予想されます。

 

少なくとも、自分の記憶がある範囲で、償却は終わらせたいのが、人間の心情でしょうかね。
(@_@;)

 

うーん、今日の話は、歯切れが悪いですね。

 

明日は、従兄弟の結婚式に行ってきます(^_-)-☆

投稿者 kuni01 : 02:52 | コメント (0) | トラックバック

2005年07月03日

会計よもやま話�〜ゲンキン経営??(2)


 


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(昨日の続きから・・・)


 


損益計算書ではその目的を果たすために、�商品を販売できた時点で、過去の現金流出に基づいて費用を計上し、また将来の現金流入に基づいて収益を計上し、その差額として利益を計算するのです。


 


ところが、損益計算書には、思わぬ落とし穴があります。


 


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それは、損益計算書は、過去の現金支出を繰り延べたり、将来の現金収入を取り込んだりして利益を計算していることに起因します。


 


具体的には、こんな不景気の時代では、モノを買ったとしてもモノが売れるとは限らないし(ビジネスリスク)、モノが売れたとしても債権が回収できるとは限らないということです(回収リスク)。


 


損益計算書上の利益は、このビジネスリスクや回収リスクをある程度無視して作られているために、これらのリスクがもし顕在化した場合には、企業実態をうまく開示できないことになるわけです。


 


現金に結びつかない利益なんて、絵に描いたぼた餅と同じですね。


 


そこで、損益計算書とは別にキャッシュフローの動きに注目しようとするのがキャッシュフロー経営です。現金の動きだけに注目するとこれらのリスクとは全く無関係の現金収支という経営本来の目的に直接リンクした企業活動の様子を観察できるわけです。


 


トヨタのキャッシュフロー計算書をみると、




平成173月期、本業(=営業活動によるキャッシュフロー)で 2兆円”もの現金を獲得しています。 


やっぱりすごい!


 


 今日はいまから名古屋に出張です・・・

投稿者 a005547 : 12:07 | コメント (2) | トラックバック

2005年07月02日

会計よもやま話�〜ゲンキン経営??(1)


最近『キャッシュフロー経営』という言葉が流行っています。ためしにAMAZONで検索してみると68件もヒットしました。


 


しかし、キャッシュフロー経営とはそんなにスゴク革新的なことなのでしょうか?


 


以前にも記載しましたように、企業経営は


�手持ゲンキン⇒�モノ購入⇒�モノ販売⇒�債権回収⇒�手持ゲンキン


という輪を何度も何度も半永久的に繰り返しています。


 


このような繰り返しの目的はただ一つ、カネ(=キャッシュ)を儲けることです


 


このように、経営の目的がキャッシュであるとすると、経営者がキャッシュの動き(=キャッシュフロー)に注目することはいわば当然のことですね


 


ではなぜ、いまさらキャッシュフロー経営ということが注目されるのか?


 


まず、先ほどの循環図(�手持ゲンキン⇒�モノ購入⇒�モノ販売⇒�債権回収⇒�手持ゲンキン)に戻りましょう。


 


損益計算書は、会社がこの1年間、いかに小さいコストでいかに大きい成果を挙げてきたかを示すツールでした。


 


したがって、たとえば、去年商品を仕入れて今年販売した場合に、去年に現金がでていったからといって去年の費用(=利益のマイナス要因)とするのはいかにも不合理です。


 


やはり、去年商品を買った時に現金支出は繰り延べておき、今年の販売収益(=利益のプラス要因)と対応させて費用化する方が合理的ですね。


 


つまり、損益計算書ではその目的を果たすために、�商品を販売できた時点で、過去の現金流出を繰り延べて費用を計上し、また将来の金流入を取り込んで収益を計上することにより、その差額として利益を計算するのです。


 


ところが、損益計算書には、思わぬ落とし穴があります。


 


長くなりそうなので、『つづく』・・・

投稿者 a005547 : 14:24 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月30日

会計よもやま話�〜オレ流会計基準


先日、EUの証券規制委員会は、EU市場に上場する日本企業に対し、2007年から追加的な決算情報の開示を義務付けたというニュースが日経新聞に掲載されました。


 


http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20050428AT2M2800428042005.html


 


これは、会計ルールが日本基準と国際会計基準とがあまりに違うので、国際会計基準にマッチした情報を別途開示しなさいということです。企業結合に関する日本基準は平成15年に出たばかりなのに・・・


 


では具体的にどこが違うのか?


 


例えば、ある企業が他の企業を合併等により他の事業を引き継ぐ場合において、国際会計基準ではパーチェス法だけしか採用できないのに対し、日本基準ではパーチェス法と持分プーリング法の両方を用意していることもその一つです。


 


少し聞きなれない単語を書いてしまいましたが、内容はさほど難しくもありません。


     パーチェス法:被結合企業から資産及び負債を時価で受け入れる方法


     プーリング法:被結合企業から資産、負債及び資本を簿価で引き継ぐ方法


というくらいに考えておけば足りるのではないでしょうか?


 


しかし、日本の会計基準が、このような�と�の会計基準の両方を認めることが、なぜ会計基準の重要な差異となるのかなと考えてしまいます。


 


そもそも会計基準が一つの会計事実について、複数の処理を認めているケースはたくさんあります。例えば、減価償却の方法(定額法、定率法・・・)などです。


 


複数の処理を認めるのは、会計基準が仮定計算によって企業を写しだすためのカガミにすぎず、ある企業実態を表現するのに同程度の合理性をもつ複数の仮定が存在する場合には、複数の処理を設定せざるを得ないという事情があるからです。これは本物のカガミとちがい創意工夫によって金額的に企業実態を表現しようとする会計基準の限界でもあります。


 


そして、このように複数の処理を認める以上、投資家に対しては、どのような前提(=会計基準)で財務諸表を作ったかを会計方針の注記で開示することが求められます(明瞭性の原則といいます。)


 


では、企業結合におけるそれぞれの処理方法はどのような合理性があるのでしょうか?


 


実は、本が1冊かけてしまうくらい深い合理性があるのですが、あえて1行で書いてみると


     パーチェス法:一方の会社がもう一方の会社を買ったという企業実態の注目


     プーリング法:両方の会社の株主がそれぞれ共同所有しているという企業実態に注目


くらいでしょうか?英語の和訳そのままですみません。


 


このようにそれぞれ合理性があるのだとすると、別に両方認めたっていいんじゃないかと個人的には思います。投資家にはどちらの基準で財務諸表を作っているということを開示すればよいのです。


 


むしろ�のような実態があった場合に、�の方法しか認められないのでは、実態をゆがめる恐れがあるのではないかとさえ思います。


 


いずれにしても、EU市場に上場している企業にとっては非常に迷惑な話だと思います。なんとかうまく日本の考え方が説明できないものかなと考えてしまいます。

投稿者 a005547 : 23:28 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月25日

会計よもやま話�〜ミエナイ売上


会社は、特に日本の場合、『売上高』の拡大に非常に大きな関心を寄せています。経営者は、売上高によって『うちの会社はこんなに大きいんだぞ』とアピールしたいでしょうし、市場シェアの多くを獲得した後、価格戦略を有利にすすめたいという思惑もあるかもしれません。


 


その売上高の計上は、会計上、実現主義という基準によっています。これは�市場取引を前提として相手方への財貨又は役務の提供と現金又は現金同等物の受け入れによって収益を計上しようというものです。


 


この実現主義では、投資家への将来情報へのニーズに応えるため、�で現金だけじゃなくて現金同等物を含めたところがミソです。


 


つまり、モノだけ先に引き渡して後で代金を支払ってくださいねというのが企業間での通常の取引ですから、売上債権(=現金同等物/売掛金)の発生をもって現金の入金を待たずに『売上』を計上してしまおうというものです。


 


モノを引き渡して買主が納得してくれればほぼ入金は確実ですから、少しでも早めに投資家へ『売れましたよ』という情報を提供するのがよいということなのでしょう。


 


ところが、最近、情報サービス産業に属する会社の売上高が本当に『実現した』とは一体どういう状況になったときななのかということが問題になっています。


 


情報サービス産業ではソフトウェア開発・販売の事業を行っていますが、その事業の対象物が『無形』の資産です。そのため、買い手がいつそれを受け取ったのか、また本当に受け取ったのかが目でみてもわからないところがやっかいです。


 


例えば、この種の業界では、システムが稼動した後もバグ取り等メンテナンス作業を継続するということがあります。この場合、システムが稼動した時点で売上を計上するのが妥当でしょうか?それとも、メンテナンス作業がほぼ又は大部分完了した時点でしょうか?


 


また、ベンダーがシステム運用のためのコンサルティングを行う場合があります。その場合両者を一体のものとみて一括して売上を計上すべきでしょうか?別々のサービスとみて売上を計上すべきでしょうか?


 


さらに、取引価額無形であることから、本当にシステムの金額が適正なのかどうかについて判断が難しいし、契約書自体を偽造された場合には発見が困難な場合があるでしょう。


 


これについて最近監査上の留意点が公表されましたのでご一読ください。


 


http://www.jicpa.or.jp/technical_topics_reports/999/999-20050311-01-02.pdf


 


企業実態の変化の中で、『将来情報へのニーズ』と『会計数値の確実性(ホントに現金に結びつくのかということ)』とのバランスを会計士がどのようにとっているか見ることが出来ると思います。


 


 

投稿者 a005547 : 13:23 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月20日

会計よもやま話�〜棚卸資産も将来情報への動き


現在、日本の会計基準基準における棚卸資産の評価基準は原価法と低価法との選択適用が認められています。


 


原価法とは、買った時の値段(⇒⇒原価 )を基礎として貸借対照表に計上することをいいます。


 


一方、低価法とは、原価と期末の時価とを比較してどちらか低いほうの価額をもって当該資産を評価額とする方法です。


 


低価法を採用した場合、�時価の方が低いと損失を計上しなければならないし、�また時価をいくらとするかということについて測定が面倒であることから、東証1部上場企業の約8割が原価法のみを採用しているようです。


 


しかし、『会計よもやま話�』でも書きましたように、貸借対照表には将来の現金獲得に貢献する資産だけしか計上することが許されません


 


この考え方からすると、原価よりも時価が落ちた場合には、将来の現金獲得能力はその分だけ落ちているわけですから、貸借対照表計上額から減額し、損失を計上するほうが合理的とも思えます。


 


また、投資家は将来情報が欲しているのですから、原価よりも時価が落ちた場合、将来発生することが見込まれている販売損失を当期の損益計算書上に損失として計上することで、そのニーズに応えることが出来るわけです。


 


実際、国債会計基準では低価法が強制適用とされています。


 


このような背景から、現在日本基準でも低価法の強制適用が企業会計基準委員会で検討されています。


 


http://www.asb.or.jp/j_technical_committees/inventories/index.html


 


会計基準の目的である、将来情報の提供に向けての試行錯誤はこれからもどんどん続いていきます!!

投稿者 a005547 : 23:12 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月17日

会計よもやま話�〜企業グループの業績はどのように見たらよいのか?


企業が一定規模以上になると、物流や販売といった機能を分社化して独立採算を促したり、同業他社や仕入先といった他の会社の株式を買収してビジネスの拡大を目指したりすることがあります。


 


株式には、役員人事など会社の運営にかかる重大な事項について議決権を行使する権利がくっついていますから、あたかも『株式を持っている』親会社をトップとしてその下に『株式を持たれている』子会社がぶら下がっているようなイメージで企業グループが形成されていくことになります。


 


ここで、ある企業グループの頂点にたつ親会社の株主あるいはお金を貸し付けている銀行の立場にたってみた場合、親会社単体の財務諸表を見ていたのではある大きな落とし穴に落ちる可能性があります。


 


それは、親会社の業績が芳しくない場合に、子会社を利用して親会社の業績を簡単に良く見せる方法があるからです。


 


例えば、親会社の経営者は支配下にある子会社に対して売れ残った在庫を全部無理やり買い取らせた場合どうなるでしょうか?


 


子会社には、大量の不良在庫が残りますが、親会社の財務諸表には、子会社の業績が悪化して子会社株式の評価損が計上されるまで、反映されず、当期では単に売上がアップしたように記録されるだけです。


 


しかし、企業グループ全体としてみれば、グループ内部で不良在庫が移動したに過ぎず、キャッシュの獲得にもなんら貢献していません。


 


このような実態を反映させるため、グループ企業について、個別の企業の業績ではなくグループ全体の業績を写す財務諸表をつくろうというのが連結財務諸表です。そこではグループ内の企業間での取引は全て相殺消去され、グループとグループ外部との取引のみが財務諸表に現れるような工夫が施されています。


 


連結財務諸表は、このように企業グループ全体の収益力を表そうとするものですから、単に企業の利害関係者に対して情報を提供するということだけではなく、経営者自身が自社の業績を判断するためにも有効なものなのではないでしょうか


投稿者 a005547 : 15:52 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月11日

会計よもやま話�〜会計基準をめぐるタタカイPART2


先日掲載しました、『会計よもやま話�〜会計基準をめぐるタタカイ』につきまして、トラックバックをいただき、ありがとうございます。マニアックすぎることを書いていないか常に不安の中で書いていますので、議論の視点を提供できたとすればそれだけで励みになります。


 


さて、良い機会なので、ヘッジ会計ということについて、少し踏み込んで書きたいと思います。


 


そもそも、会計基準は、デリバティブ取引について、基本的に投機(!?)を目的としているという考え方にたっています乱暴すぎるかもしれませんが、誤解をおそれずにいってしまえばバクチだと考えているわけです。そして、我々はこのバクチの結果が出てしまう前に、一定のロジックに基づいて、勝ちそうか負けそうか知ることができます。デリバティブの『時価』 のことです。


 


デリバティブが投機目的であり、そのの結果を事前に知ることができるとすれば、これを開示することが、将来情報を望む投資家からみるとありがたいでしょう。そこで、デリバティブは原則として時価評価し、時価評価の結果を損益処理することが求められるわけです。


 


ところが、デリバティブ取引はなにも投機目的のために利用されるだけではありません。会社がリスク資産を保有している場合に、そのリスクを軽減する効果を持つことがあります。


 


典型例はこうです。


 


会社が、常時、外国の商社から商品を輸入しており、ドル建てで支払う約束をしていたとしましょう。この場合、会社が持つ外貨建債務は為替変動リスクにさらされています(1=100円よりも1$=110円のほうが不利)。


 


そこで、会社は将来発生する外貨建債務に関する為替変動リスクを軽減するため、銀行との間で、外貨建債務の発生見込額を1$=100円でドルにかえる約束(=デリバティブ取引)をしておくのです。そうすると、会社としては1$=90円となることによって得られる利益を放棄するかわりに、1$=110円となることによって生じる損失を回避できるわけです。


 


このようなデリバティブ取引は、将来発生する為替損益を軽減する目的で行われるものですから、その意図を会計処理に反映させなくては、逆に投資家をミスリードする可能性があります。


 


そのため会計基準は『ヘッジ会計』という工夫をしています。それは、ヘッジ対象(=将来発生する予定の外貨建債務)から得られる損益とヘッジ手段(=当期行ったデリバティブ取引。)から得られる損益とを同一期間に認識する工夫です。


 


先ほどの例でいいますと、『当期』に行ったデリバティブの時価評価結果を損益として認識せず、外貨建債務が発生し為替変動損益が生じる『来期』 まで、その損益を繰り延べることになります。


 


ところが、会計監査人の立場としましては、『会社の意図』というものを確かめなくてはなりません。なぜなら、ヘッジ会計は損益を繰り延べるものであるため、これを利益操作に利用されかねないからです。


 


例えば、10年間にわたって1$=100円で邦貨を外貨に交換する約束を銀行との間でしていた場合に、当期末において時価がかなりのマイナスであるとすれば、業績の苦しい会社は、本当は投機目的で行っている取引であったとしても、『これは将来発生する外貨建債務のために行ったデリバティブ取引であり損益はそのときまで繰り延べたい』というでしょう。私が経営者でもそういいたくなります。


 


また、たとえ、今現在外国企業との取引があったとしても、これだけ変化の早い経済環境において長期に10年間なんて気の遠くなる話です。)輸入取引が継続することを立証するのはかなり困難です。取引が中止された場合、邦貨を外貨に交換する取引は、そもそもリスクを軽減する対象(=ヘッジ対象)が存在しないわけですから、会計上単なるバクチとしての性格を持つにすぎないことになります。


 


この『会社の意図』の判断指針を示したものが例の『包括長期為替予約のヘッジ会計に関する監査上の留意点』(リサーチセンター審理情報No19)です。このなかで、1年以上の予定取引については、一定の場合を除いて、ヘッジ対象とは認められず、原則として会計処理上は投機目的と考えて損益処理する必要があると示しています。


 


もっとも、これはヘッジ対象となる為替予約取引が将来発生するかどうかの予測にあたっての判断指針を示したものにすぎませんから、極端にいえば10年、20年先のことであったとしても、予測を裏付ける合理的な根拠を会社側が示した場合、損益の繰延処理を否定する理由は会計士側にはありませんし、この判断指針もそこまで否定していません。


 


つまり、この判断指針が出されたからといって、包括長期為替予約を全て損益処理しなければならないということではなく、将来の外貨建債務の発生可能性について会社の実態を見て判断しなければならないということです。


 


判断指針が出たから、損益処理しなければならないというロジックがクライアントから理解を得られないのは当然ですし、そもそも今までの処理はなんだったんだということになりかねません。


 


私が尊敬する先輩からよく言われたことは、『会計基準から実態をみることをするな』『実態から会計基準をみなさい』ということでした。会計基準は企業の取引実態を写し出すカガミにすぎないのですから!


 


今回は長くなってしまってすみません。

投稿者 a005547 : 18:13 | コメント (3) | トラックバック

2005年06月08日

会計よもやま話�〜将来リスクの予想はムズカシイ


全ての企業の活動基準となっているのは現金であり、「お金をもうけること」こそが唯一の会社の目的です。そのため、財務諸表はこの現金の出入りを基礎として作成されています。


 


ところが、財務諸表の基本的な存在意義は投資家の投資意思決定に役立つことにあります。そして、投資家の欲しい情報は「会社がこれからどれだけ儲かるか」という将来情報です。


 


この要望に応えるべく、会計基準は、現金収支を基礎としながらも、そこに将来情報を織り込むためのさまざまな工夫が凝らされています。貸借対照表を見るとパッと目に付くのが「引当金」というあまりなじみのない文字。これもその一つです。


 


つまり、実際の現金支出が今よりまだまだ先のことであったとしても、支出の原因が当期にあり、また支出の可能性がほぼ確実といえるような場合には、将来の実際の支出に先立って費用(=当期の損益計算書において利益のマイナス要因となる)を計上することが将来情報に対する投資家のニーズに応えることになります。その結果計上されるのが引当金なのです。


 


貸借対照表には、将来収益の糧となるもののみが計上されていますが、引当金は将来収益にマイナスの影響を与えるものとして、「負債の部」に計上されています。


 

引当金の一部を大雑把な内容とともに説明しますと次のようになります。
�賞与引当金:来期のボーナス支払いによる支出を当期の費用として見積もり計上

�退職給付引当金:将来の退職者に対する退職金支払いによる支出を当期の費用として見積もり計上

�損害補償損失引当金:裁判で損害賠償請求を受けている場合に、負けが込んできたため、損害賠償金の支払による支出を当期の損失として見積もり計上。

�貸倒引当金:保有している金銭債権が回収できないかもしれない場合に、回収不能見込額を計上。

引当金の種類はまだまだたくさんありますが、本質はどれも同じです。それは、投資家に対して、将来のリスク情報を示しているということです。

ところが、引当金はあくまで将来の支出がどのくらいになるかを予想することによって計上されるものです。

そのため、会計監査上は、会社見積もり計上額が本当に正しいのかということについて確かめる必要があります。なぜなら、将来の予想を楽観的に行うか悲観的に行うかを利益操作に利用されかねないからです。

会計士も将来予測の妥当性を検証することについては大変な苦労が必要で、通常監査現場ではベテランの会計士がこの検証作業を担当しますし、見積もりの妥当性を検証するということだけをテーマとした監査上の実務指針が1つでているくらいです。

将来予測を取り入れれば取り入れるほど、投資家ニーズに応えることにはなりますが、いきすぎると予測の合理性について疑問が生じ、かえって投資家の判断を誤らせることにもなりかねない。

そのバランスの間に会計基準が成り立っているといえるのかもしれません。

投稿者 a005547 : 19:41 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月07日

会計よもやま話�〜会計基準をめぐるタタカイ


近年、金融工学の発展とともに各金融機関はさまざまな金融商品を開発し、上場企業をはじめとする多くの会社にデリバティブ取引を売り込んでいるようです。


 


会計基準は企業実態を写しだすカガミですから、このような実情がキャッチアップされ、整備される必要があります。このデリバティブ取引の取り扱いについて定めるのが金融商品会計基準です。


 


この基準の詳しい内容については別の機会にとっておくとして、去る平成17228日に東京地裁で興味深い判決がでました。


 


会計監査上、取り扱いに困るような事項や留意すべき事項について、公認会計士協会がリサーチ・センター審理情報という答申書を出すことがあります。


 


http://www.jicpa.or.jp/technical_topics_reports/200/


 

われわれ現場の会計士はこれを参考にしながら、会計監査を進めていくわけですが、平成15年2月18日に、デリバティブ取引に関する基準の解釈について「包括的長期為替予約のヘッジ会計に関する監査上の留意点」(リサーチ・センター審理情報No19)が公表されました。

大雑把にいうと、長期的な為替予約取引については、一定要件を満たす取引以外、決算期末において時価評価し、時価変動分について損益処理するべきという内容です。

時価評価した結果、多くの会社が利益を計上したならよかったのでしょうが、反対に損失を計上する方が大半でした。これでは、会社はデリバティブ取引に消極的にならざるを得ず、折角苦労して開発した金融機関の苦労も報われません。

そこで、先ほどのリサーチ・センターの損益処理すべきというロジックがそもそも正しいのかどうかについて裁判で争われていたわけです。

東京地裁の結論としては、公認会計士協会側の勝利でした。

会計基準がコミュニケーション手段足りうるためには、その過程で利害関係者との摩擦を含めたやりとりが必要だということなのでしょうね。

投稿者 a005547 : 00:19 | コメント (0) | トラックバック

2005年06月03日

会計よもやま話�〜固定資産にかかる減損会計


これまで新聞等で幾度となく取り上げられ、企業の業績に強烈なインパクトを与える減損会計。中には1,000億円規模の損失を計上した会社もあるようです。減損会計を適用した会社の株価は、不思議なことに、多額の損失を計上したにもかかわらず上昇しているケースが多くあります。企業実態を写す道具に過ぎない会計基準が、逆に実体経済に大きな影響を及ぼすというのも変な気がしますが、そのからくりを解明したいと思います。


 


企業は設備に投資をして、その設備を使って製造される製品を販売し、儲けを得ようとすることはよもやま話�でもお話しました。


 


ここで面白いのは、設備は1年間だけではなく数年間使用するのが通常であるため、会計ルール上ひとつの工夫があることです。


 


それは、設備を購入したときの現金支出をその期の損益計算書において全て費用化してしまうのではなく、使用する期間にわたって、配分しようという工夫です。


 


考えてみれば当然のことですが、企業が100億円の設備投資をし、10年間にわたってその設備を利用してもうけようと考えているのに、設備投資の初年度にいきなり100億円の損失を計上するのは、どう考えても企業の実態を表しているとは思えません。使用する10年間にわたって費用化し、製品の販売収益と対応させるが、企業の儲けを表すために合理的でしょう。

というわけで、設備投資の初年度には100億円のうち10億円だけが費用として計上され、残りの90億円は貸借対照表に資産(将来収益の糧)として計上されることになります。

前置きが長くなってしまい申し訳ないのですが、ここからが減損会計の話になります。

そもそも企業はもうけることを目的として事業活動を行っていますが、全てがうまくいくとは限りません。多額の設備投資を行ったとしてもそれが収益に結びつかないなと経営者自身が自覚してしまうときもあるでしょう。

厳しいようですが、そのような儲からない資産は、貸借対照表にはのせてはならず、わかった時点の損失として損益計算書に計上しなさいというのが減損会計です。なんせ貸借対照表に載せてもよいのは将来の糧となる財産だけなのですから。

なお、減損損失を計上する場合、損益計算書には、減損損失を認識するに至った経緯を記述することがルール化されています。経営者は自らの失敗を記述しなければならないのでなかなか詳しくは書いていませんが、企業の状態を知るうえでなかなか興味深い情報を得ることができます。

EDINETのキーワード検索で「減損損失」 などと入れるとたくさん出てきますので一度見られるのもよいかもしれません。

また、冒頭で減損損失を計上すると株価が上がるということを記載しましたが、これは、将来にわたって費用化する資産を一気に損失計上することで、将来の費用負担が減ってその分利益が増えるという算数的な理由によるものだけではありません。

資産の費用化を早めにすることで、経営が身軽になり、経営者は思い切ってスクラップAndビルドを行うことができることなども株価をおしあげる要因となるでしょう。

問題の先送りは経済の世界でも歓迎されないということですね!?


POINT

減損会計は将来収益に貢献しない資産を早めに費用化し、来期以降に引き継がないようにするものである。

投稿者 a005547 : 00:39 | コメント (0) | トラックバック

2005年05月31日

会計よもやま話�〜財務諸表はカガミ


よもやま話�で書きましたように、投資家は財務諸表によって企業が1年間活動した結果を知り、これからの将来性を予測し、出資するかどうかを決定します。財務諸表はいわば「企業の活動を写し出すカガミ」の役割を果たしているといえるでしょう。


 


 


そうだとすれば、財務諸表(損益計算書、貸借対照表)とその作成ルールを理解するためには被写体である「企業の活動」を理解する必要があります。


 


 


まず、全ての会社は利益の獲得(:お金を稼ぐこと)を目指しています。意外と知られていませんが、お金を稼ぐことが会社の目的であることは法律でも決まっています!!


 


 

また少しいいきってしまいますが、全ての企業は儲けるために次のような活動を行っています。

:(�現金⇒�投資⇒�販売⇒�回収⇒�現金)。(これを営業循環サイクルと呼びます。)


これを言葉にするのは難しいのですが、あえていうなら�株主や銀行から資金を調達し、�それを設備や商品の購買や給料のために使い、その後、�商品やサービスお客さんに対して販売し、�販売代金を回収するという活動ということになるでしょうか。


企業はこのサイクルを何度も半永久的に繰り返します。もちろん、業種によって回転速度は違います(ラーメン屋さんは速度が速いでしょうが、高級レストランは遅いでしょう。)が、本質的な活動になんら変わりないはずです。


このように企業の活動目的が儲けること(=利益を稼ぐこと)であるとすれば、企業の活動を写し出すために利益という観点から整理するのが最も合理的です。そのような理由から(�現金⇒�投資⇒�販売⇒�回収⇒�現金)という半永久的に続く企業の活動を1年という区切りを設けて示す書類が損益計算書なのです。


一度損益計算書を見ていただくとわかるのですが、損益計算書は収益から費用を差し引いて利益を計算しています。収益というのが先ほどの営業循環サイクルでいくと�販売にあたり、費用が�投資から計算されるということになるでしょう。つまりいかに小さい投資でいかに大きい成果をあげたか、どれだけ効率的に儲けたかを示そうとしているのです。


では財務諸表のもう一方、貸借対照表はどんな役割を果たすのでしょうか?

損益計算書は1年間という区切りをつけてどれだけ儲けたかを示す書類でしたが、企業の営業活動は半永久的に続いています。1年間ごとに解散する会社なんて聞いたことないですよね。1年間の営業活動が終わっても、ゼロからスタートするのではなく、以前の財産を引き継いでもう1年、1年といわずそれ以降の営業活動の糧にするわけです。


そこで、1年間の営業活動が終了した時点で、そこで来年以降の糧となる財産を示すことが会社の将来を予測するにあたって必要となります。投資家は、将来の収益の糧となる資産がどれだけあるのかについて興味をもっているからです。この役割を担うのが貸借対照表なのです。


損益計算書と貸借対照表の関係はこうです。
年度初めの貸借対照表に計上されている資産のうち、今年1年間の収益に貢献をして役割を終えたものが費用として計上され、今年末貸借対照表には来年以降の収益に貢献する資産だけが計上されるというものです。


ここまでくると、減損会計やその他の会計基準はあっという間に説明できてしまうのですが、長くなってしまったので、明日以降にしたいと思います。

POINT

・収益と費用を用いて、いかに小さい努力で最大の成果をあげたかを示すのが損益計算書
・来期以降の収益獲得に役に立つ要因を示すのが貸借対照表


投稿者 a005547 : 23:49 | コメント (0) | トラックバック

2005年05月29日

会計よもやま話�〜会計基準はコミュニケーションツール??

最近ハイブリッド車のCMをテレビで見ました。ご存知のとおり、ハイブリッド車はガソリンエンジンと電気モーターとを使いわけることにより、燃費の効率化と排ガス中の有害物質の低減を実現するシステムで、「環境」という顧客ニーズに応えて、売れ行き好調のようです。この「環境」は、自動車市場においてキーワードとなっているようで、国内自動車メーカーはほぼこの技術をもっているし、アメリカの自動車メーカーもやっきになってハイブリット技術を開発しようとしているようです。

 

 

思えば、環境という言葉が注目されはじめたのは本当にここ最近のことです。これほどまでに便利になった世の中で、顧客の潜在的ニーズを堀り起こすためには、相当な研究開発費が必要となるでしょう。また、開発した高付加価値製品の生産のため、機械・電子機器等の設備に個人では考えられない位の投資額が必要となるでしょう。

 

 

企業はこれら設備投資を行うための大量の資金需要を銀行からだけではなく、証券市場において投資家からの出資によって賄います。

 

 

一方、投資家は、当たり前ですが、投資を上回る利益(配当/株式売却益)を得られる会社に対してだけ、投資をします。


この投資を上回る利益を得られるかどうかという投資家の投資判断に役立てるためというのが、「財務諸表」の基本的な存在意義です。つまり、投資家は、財務諸表に記載されている会計数値その他の情報を読み取ることによって、会社の将来の業績を予測し、その銘柄に投資するかどうかの判断をするのです。


ところが、財務諸表が投資判断基準として機能するためには、財務諸表の作るためのルールについて、財務諸表作成者である企業と利用者である投資家が共通認識をもっていなければなりません。会社が勝手に作ったルールによる会計基準による利益なんて誰も信用しませんよね。


このように財務諸表作成ルール(会計基準)は利用者と投資家とがコミュニケーションするためのツールであるといえます。したがってまた、利用者の変化とともに会計基準も変わっていかざるを得ません。


最近めまぐるしい会計基準自体の改正、固定資産にかかる減損会計、企業結合会計、退職給付会計、金融商品会計、連結会計等・・はすべてこの財務諸表利用者による利用方法の変化によるものです。


具体的には、日本のビッグカンパニーが国外の証券市場で資金調達を行ったり、逆に外国人投資家が日本の証券市場で投資を行ったりする場合、日本の会計基準と米国その他の会計基準とがあまりに乖離しているために、外国人投資家が会計数値に不信感をもち、適正な投資判断ができないとのクレームが発生しました。


現に数年前まで、日本の会計基準で作成された英文財務諸表について「わが国(日本)以外の国で一般に公正妥当と認められた会計原則及び実務に従って作成された財政状態、経営成績及びキャッシュフローを示すことを意図したものではない」旨の警句をつけるように強制されていました(いわゆるレジェンド問題)。


このように財務諸表利用者のグローバル化という背景から早急に整備された新しい会計基準は、一見複雑で理解しがたいように見えます。しかし、所詮コミュニケーションツールにすぎません。


理解の難しいコミュニケーションツールなんて存在する意味がありませんから、そのような視点から見れば、概要くらいは簡単に掴めます。


今後、読者の方々に新聞等でよく耳にする会計基準の概要を掴んでいただくことを目的として、わが国の会計基準をよもやま話を交えながら概説していきたいと思います。

投稿者 a005547 : 22:56 | コメント (2) | トラックバック