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2005年06月08日
会計よもやま話�〜将来リスクの予想はムズカシイ
全ての企業の活動基準となっているのは現金であり、「お金をもうけること」こそが唯一の会社の目的です。そのため、財務諸表はこの現金の出入りを基礎として作成されています。
ところが、財務諸表の基本的な存在意義は投資家の投資意思決定に役立つことにあります。そして、投資家の欲しい情報は「会社がこれからどれだけ儲かるか」という将来情報です。
この要望に応えるべく、会計基準は、現金収支を基礎としながらも、そこに将来情報を織り込むためのさまざまな工夫が凝らされています。貸借対照表を見るとパッと目に付くのが「引当金」というあまりなじみのない文字。これもその一つです。
つまり、実際の現金支出が今よりまだまだ先のことであったとしても、支出の原因が当期にあり、また支出の可能性がほぼ確実といえるような場合には、将来の実際の支出に先立って費用(=当期の損益計算書において利益のマイナス要因となる)を計上することが将来情報に対する投資家のニーズに応えることになります。その結果計上されるのが引当金なのです。
貸借対照表には、将来収益の糧となるもののみが計上されていますが、引当金は将来収益にマイナスの影響を与えるものとして、「負債の部」に計上されています。
引当金の一部を大雑把な内容とともに説明しますと次のようになります。
�賞与引当金:来期のボーナス支払いによる支出を当期の費用として見積もり計上
�退職給付引当金:将来の退職者に対する退職金支払いによる支出を当期の費用として見積もり計上
�損害補償損失引当金:裁判で損害賠償請求を受けている場合に、負けが込んできたため、損害賠償金の支払による支出を当期の損失として見積もり計上。
�貸倒引当金:保有している金銭債権が回収できないかもしれない場合に、回収不能見込額を計上。
引当金の種類はまだまだたくさんありますが、本質はどれも同じです。それは、投資家に対して、将来のリスク情報を示しているということです。
ところが、引当金はあくまで将来の支出がどのくらいになるかを予想することによって計上されるものです。
そのため、会計監査上は、会社見積もり計上額が本当に正しいのかということについて確かめる必要があります。なぜなら、将来の予想を楽観的に行うか悲観的に行うかを利益操作に利用されかねないからです。
会計士も将来予測の妥当性を検証することについては大変な苦労が必要で、通常監査現場ではベテランの会計士がこの検証作業を担当しますし、見積もりの妥当性を検証するということだけをテーマとした監査上の実務指針が1つでているくらいです。
将来予測を取り入れれば取り入れるほど、投資家ニーズに応えることにはなりますが、いきすぎると予測の合理性について疑問が生じ、かえって投資家の判断を誤らせることにもなりかねない。
そのバランスの間に会計基準が成り立っているといえるのかもしれません。
投稿者 a005547 : 2005年06月08日 19:41
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